先日、記帳の記事の中で「この記帳機能、単体で欲しい人はいますか?」と聞いてみたところ、反応がありました。美容室ではない、別の事業をされている方からも「欲しい」と。
正直、うれしかったです。でも同時に、確信しました。
私だけじゃなかった。
世の中には、レシートを溜める仲間が、思っていたよりたくさんいる。今日はその仲間たちに捧げる記事です。レシート管理を始めた人が、どんな1年をたどるのか。ここにリアルに描きます。
なお、これから書くことは架空の誰かの話ではありません。全部、私のことです。正確に言えば、いまの記帳の仕組みを作る前——手入力とレシートの山に敗北し続けていた、ほんの少し前までの私の話です。1ヶ月目 —今年こそはやるぞ
意識の高さ: MAX
やっと記帳が終わった。そう、今の私は無敵です。だって、決算(確定申告)が終わったから。もう税理士から電話がかかってくることもない。レシートをもらうたびに、うれしくてすぐに弥生会計を開く。コンビニでコーヒー1本買っても弥生会計に記入。笑えるくらい毎日記入。
「今年の俺は違う。確定申告? 余裕でしょう」——この時期の私に怖いものはありません。むしろレシートをもらうのが楽しみですらある。経費で落ちるかどうか微妙なものまで、とりあえず入力。全能感に満ちています。
2ヶ月目 — 1週間で忘れる
意識: 蒸発
タイトルと矛盾していますが、体感としてはこうです。2ヶ月目に入ったある日、ふと気づくのです。「あれ、最後に入力したのいつだっけ」と。
思い返せば、忙しい日が1日あって、その日は「あとで入力しよう」と財布にレシートを入れた。次の日も忙しかった。その次の日は、もう入力をしなければいけないことすら思い出さなかった。習慣というものは、たった1回の「あとで」で死にます。
財布の中には、いつの間にかレシートの小さな束ができています。でもまだ焦りません。「まとめて入力すればいいし。売り上げも月末にならないと印刷できないし。」と思っているからです。
3ヶ月目 — 「そろそろやらないと」(やらない)
罪悪感: 発生
財布がパンパンになってきて、レシートは100均で買ってきた半透明のポーチに入れ、引き出しへ移動します。この「引き出しへの移動」が運命の分かれ道です。視界から消えたレシートは、記憶からも消えます。
それでも月に一度くらい、引き出しを開けてしまってから思うのです。「そろそろやらないとな」と。
そして、そっと閉めます。来週やろ、と。
もちろん、やりません。来週の自分は、今週の自分と同一人物だからです。
6ヶ月目 — 税理士に言われてやる。そして再び眠る
外圧: 発動
ある日、税理士事務所の担当者さんから連絡が来ます。「そろそろ中間の資料を」。
うわぁぁぁぁぁ、面倒くせぇぇぇぇ。
――と思ったまま放置し、気づけば担当者さんからの電話は3回目。仕方ねぇな、やるか……。夜、店を閉めた後、レシートの束と向き合う。日付順に並べ、記憶をたぐり、「この3,200円…何だっけ…」と唸る。数日の格闘の末、なんとか形にして提出。
やり切った達成感とともに、こう誓うのです。「もう溜めない。今度こそ、こまめにやる」と。
——その誓いは、翌週にはレシートと一緒に引き出しの中で冬眠を開始します。。。。
12ヶ月目 — ギリギリで一気に片付ける地獄
状態: 追い詰められ
そして、締切がやって来ます。個人事業主なら2〜3月の確定申告。うちのような8月決算の法人なら、税理士さんへの提出期限。
もう逃げられません。溜まりに溜まった数ヶ月分のレシート、袋、引き出し、財布の奥。全部をかき集めて、夜な夜な処理する。前回の記事で書いた通り、私はこれを毎年、家族旅行の憂鬱とセットでやっていました。そう、15年連続で。
そして終わった後、思うのです。
これは、意志の弱さではありません
さて、ここまで読んで笑った方。笑ったということは、心当たりがあるということです。ようこそ、仲間ですね。
でも、声を大にして言いたいのはここからです。この1年サイクル、意志が弱いから起きるのではありません。
人間は、締切のないタスクを実行できない生き物です。記帳には日々の締切がない。だから後回しになる。そして年に一度の締切(申告)が来たときだけ、火事場の馬鹿力で片付く。つまり私たちは怠けているのではなく、「締切だけが人を動かす」という人間の仕様通りに動いているだけなんです。
意志力で毎日コツコツやろうとするのは、仕様に逆らう戦いです。勝てません。勝てるわけがない。私は独立してから15年、一回も勝てませんでした。必要なのは、根性ではなく「溜めても大丈夫な仕組み」と「思い出させてくれる仕組み」の方です。
「その場で撮るだけ」なら、意志力はほぼ要りません。撮り忘れて溜まっても、まとめて撮れば追いつけます。固定費の入れ忘れは、仕組みに警告させればいい。人間の仕様は変えられませんが、仕組みは変えられる。
おわりに — 同じ地獄にいる皆さんへ
冒頭に書いた通り、「この記帳の仕組みだけ欲しい」という声を、美容業界の外からもいただいています。レシートを溜めるのに、業種は関係ないということですね(笑)。
というわけで、この地獄を何とかする仕組みを、いま真剣に考えています。別の業種でも、同じ地獄にいる皆さんのために。あと、正直に言えば、私の老後のために(笑)。
ご意見はまだまだ募集しています。「うちの業種だとこうだ」「こういう機能が欲しい」など、ページ下部の匿名のメッセージ欄からお気軽にお願いします。応援メッセージも励みになります。
よろしくお願いします。続報はこのブログで書いていきます。
アネクシス サロンOSの会計記帳管理は、「溜める人間」を前提に設計しています。レシートはその場で撮るだけ、溜めてもまとめて撮れば追いつける、固定費の入れ忘れはピンク警告でお知らせ。意志力に頼らない記帳の仕組みです。詳しくはANEXIS SalonOSのご案内をご覧ください。